先週、アプリで見つけた深夜の単発バイトに応募した。
仕事内容は“繁華街の飲食店にイベントポスターを貼って回るだけ”という、一見楽そうなやつである。
時給は1,200円、時間は23時〜翌3時。夜型生活にはぴったりだった。
集合場所は駅近くのコンビニ前。
同じバイト仲間は4人で、全員マスク姿。リーダー役の男性が軽トラからポスターの束と糊、脚立を降ろしながら説明した。
「貼る場所は決まってるから、店の人に挨拶して、許可シールを貼ってから作業ね。あと、落書きや落剥は絶対NG。」
作業は思っていたより地味だった。
ラーメン屋の入り口、居酒屋の壁、カラオケボックスの階段脇…。
ただ、ビルの入口近くは風が強く、貼ったばかりのポスターがひらひら剥がれかける。
持ってきたスティック糊では足りず、結局コンビニで追加購入することに。
レジで会計していたら、店員さんに「これも仕事の経費になるんですか?」と笑われた。
午前2時を過ぎた頃、だんだん街が静まり返る。
遠くで酔っぱらいが歌う声がするだけ。
同行していた女性スタッフが「この時間って、ちょっと映画みたいですよね」と言ったのが妙に印象に残った。
最後の1枚をカラオケ店の階段壁に貼り終えると、糊の匂いが手に染み付いていた。
報酬は現金手渡し。小さな封筒の中の4,800円が、妙にずっしりと感じられた。
帰宅後、手を洗ってベッドに入ったのは午前4時。
窓の外はうっすら明るくなり始めていて、なんだか一晩だけ別の街で生きていたような気分になった。