ヘッドを外してバルブを換装し、自分好みのスペックへと昇華させる。そんな「自在な拡張性」という悦びを世に知らしめたのが、SUREFIREのパーソナルライト『6Pオリジナル』だ。
ブランドのアイデンティティそのものと言えるこのモデルは、理屈を超えて男心を刺激する独特の佇まいを持ち、今なお熱狂的、あるいは偏執的とも言えるマニアたちを惹きつけて離さない。
供給停止の背景と、加速する希少化
しかし、長年マスターピースとして君臨してきた6Pにも、黄昏時が迫っていた。かつて米軍への納入が最優先され、その余剰分のみが一般市場に供給されていた「選ばれし道具」としての物語は、今や別の局面を迎えた。
近年、6Pの再生産は事実上ストップしており、市場からは急速にその姿を消しつつある。
その背景には、昨今のSDGs(持続可能な開発目標)への世界的シフトがある。エネルギー効率の観点から、SUREFIREが長年守り続けてきた「キセノンバルブ」という形式から完全に撤退した可能性は極めて高い。
次世代へ受け継がれるDNA
現在、その「正統なる後継者」の座を担っているのは、設計段階からLEDに最適化された『6PXシリーズ(Pro / TACTICAL)』だ。
確実な進化を遂げた現行モデルの信頼性を取るか、それとも、失われゆくキセノンの灯火と「いじる愉しみ」が詰まった不朽の名作を追い求めるか。タクティカルライトの歴史は、今まさに大きな転換点を迎えている。
ところが、長年にわたり愛されてきた6Pオリジナルも、常に安定供給されてきたわけではない。

画像引用元 日本正規代理店の運営するSUREFIRE JAPAN公式サイトhttp://surefire.jp/6px-c-bk/
ただし、6PXは名目上の後継ではあるものの、仕様は大幅に異なっている。
まず、標準装備の光源がLEDバルブに切り替わったことで、ユーザーによるバルブ交換の必要はなくなった。
また、通常ヘッド部はネジロック剤によってチューブに固着され、分離ができない仕様となった。
無理に取り外すことも可能だが、当然ながら保証対象外となるため推奨はできない。
この「ヘッドが外せない」仕様変更と、フィンガーグルーブを備えた新デザインに対し、従来モデルを好んでいたユーザーの中には、6PXに対して距離を置く者もいる。
とはいえ、6PXの実力はどうか。
6PXには、Lowモード15ルーメン/Highモード600ルーメンの2段階出力を持つ民生向けモデル「6PX Pro」と、600ルーメン固定出力の警察・軍用仕様「6PX TACTICAL」の2種類が存在する。
なお、国内正規品かつ生涯保証付きの最新600ルーメンモデルは、アカリセンターにて14,277円で販売されている。

6PXは発売当初こそ200ルーメンだったが、320ルーメンを経て、現在の最新バージョンでは600ルーメンにまで出力が強化されている。
ただし、購入時には旧型か新型か、並行輸入品か正規輸入品か、さらには正規輸入品であっても生涯保証書を兼ねた日本語説明書が付属しているかどうか、細かい点まで確認が必要だ。
シュアファイヤの生涯保証についてはこちらで解説している。
6PXは金属製ボディでフィンガーグルーブが備わっている
低価格帯のパーソナルライトにはG2Xもラインナップされているが、6PXとの最大の違いはボディ素材にある。
6Pの伝統を受け継ぐモデルとしては、やはりボディが航空機用アルミ合金でなければならない。
また、6PXのボディにはフィンガーグルーブと呼ばれる溝状の指かけが設けられている。ただし、このフィンガーグルーブについては賛否が分かれるところだ。手の大きさは人それぞれであり、標準化されたグルーブが必ずしも万人にフィットするわけではない。場合によっては違和感を覚えたり、痛みを感じることもある。
筆者自身もフィンガーグルーブにはあまり好意的ではない。
なお、アカリセンターさんでは6PX TACTICALに関する記事で、以下のような説明がなされている。
ボディに刻まれたフィンガーグルーブ。ボディに3本の溝が切られていますが、指3本をそれぞれ割り当てるのは無理があります。実際の使用では全く気にしないか、なんとなく引っ掛けて使う程度の溝です。神経質に指を合わせようとしても合わないか、非常に握りにくくなります。
引用元 http://akaricenter.blog.jp/archives/52259845.html
親指でスイッチを押す際にはフィンガーグルーブが有効だという評価もある。
ちなみに、銃器メーカーのグロックでは、かつてグリップに設けられていたフィンガーグルーブが、第5世代モデルでは廃止され、1982年発売当初のシンプルなデザインに回帰している。不要とする声が大きかったのだろう。

6PXは『民生品仕様』
6PXは「民生品仕様」となっており、これこそ旧型6Pからのもっとも大きな仕様変更のひとつだといえる。
アカリセンターさんによれば、6PXのパッケージには「Not for weapon-mounted applications」という注意書きが記載されているとのことだ。
この注意書きは6PXだけでなく、G2Xにも見られる。もっとも、一般ユーザーにはあまり関係のない話ではある。
なお、旧6Pは実銃マウントを前提とした耐衝撃設計となっていた。
現在の同社の低価格帯パーソナルライトでは、G2Xが人気モデルとなっている。
現在6PXでは600ルーメンとなっており、実用度は十分。米軍用規格のTYPE3ハードアノダイズド処理が施されたボディは耐摩耗性・耐腐食性が強く、現場仕事には心強い。
ただし、調光モードは600ルーメンのシングルのため、低い照度も欲しい場合はG2XのタクティカルやLEも選択肢に加えると良いだろう。



