アメリカにも風船おじさんはいた

1992年11月、琵琶湖から風船付きゴンドラに乗って飛び立ったピアノ調律士・鈴木嘉和おじさんの事件。

大学教授や警察官の制止を振り切り、風船を何個も付けた風呂桶に乗って、大空へと旅立ったおじさん。

その後、おじさんは大空を自由に飛び回ったが、翌日に遭難信号が発信され、海上保安庁が捜索を開始することとなった。

宮城県金華山沖800キロの太平洋上で、海上保安庁のファルコン多用途機がゴンドラを発見したが、おじさんはファルコンに元気に手を振っていたのが確認され、その後ゴンドラは再び上昇。

最終的に遭難信号は受信できなくなり、ファルコンは「異状なし」と判断して羽田基地へ帰投した。

それから20年が経過しても、おじさんの手がかりは発見されていない。

ところで、実はアメリカにも風船おじさんがいるんだ。日本の風船おじさんよりずっと前、1982年のことだ。

ローンチェアパイロット、Lawrence Richard Walters。彼は自家製の飛行船で1982年7月2日に飛行した。45個のヘリウムで満たされた気象観測気球から吊り下げられたイスに乗って、4600メートルの高度まで上昇。風船をエアガンで破裂させながら浮力を下げて降下するという手法を取った。

ウォルターズはパイロットになることを夢見て空軍の採用試験に臨んだが、視力の問題で叶わなかった。それでも風船で大空へ飛び立ち、地上に舞い降りた後、ロングビーチ警察に逮捕された。連邦航空法違反で1500ドルの罰金を支払った。

その後、ウォルターズは連邦森林局でボランティア活動などを行い、1993年10月6日、44歳で命を終えた。