ファッションアイテムの一つにハズシ系(ハズシファッションとも)というジャンルがあり、そのハズシ系に利用されるアイテムの一つに「腕時計」がある。
全体的にスタイリッシュに仕上げているのに、どこか一つ、小物アイテムでミスマッチを感じさせるコーディネイト・・と言えば良いだろうか。
決して、高級腕時計だけが全てではないのだ。
最近流行のハズシ系(ハズシファッションとも)、こういったハズシスタイルに欠かせないものが、廉価なデジタルの腕時計。
今回、少しだけハズシ系腕時計を考察しよう。
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タイメックスの角デジ
中でも人気なのがカシオ、タイメックス、そして最近ではダイソーの100円時計。
こちらはTIMEX INDIGLOだ。
時計にはさまざまな種類のブレスレットが存在するが、本モデルは特に異色である。ジャバラ式ベルトを採用しているのだ。
このジャバラベルト、ただの金属ブレスレットではない。内部にゴムが仕込まれており、伸縮する構造になっている。さらに特筆すべきは、バックルが存在しないことだ。つまり、事前にサイズ調整さえしておけば、手首にすぽっとはめるだけで装着できる。忙しい朝、一分でも惜しい場面では非常にありがたい仕様である。レザーバンドのように煩わしい手間は不要だ。
もっとも、このジャバラベルトについては評価が分かれる。タイメックス角デジタルの個性のひとつであるが、受け入れがたいと感じるユーザーも少なくない。実際、筆者の友人はこのジャバラを外し、一般的なステンレス製ブレスレットに換装して使用していた。

画像のものは筆者の個人コレクションで、日本限定のブラックコレクションと呼ばれるモデル。ブラックが精悍だ。液晶も美しい。
また、表示設計にも注目したい。曜日インジケーターが一週間の各曜日ごとに異なる位置に配置されており、位置関係から今日が何曜日か直感的に把握できる仕組みになっている。たとえば、週の真ん中水曜日なら、インジケーターも中央に表示される。
さらに、液晶表示には角度によって美しいグラデーションがかかる工夫が施されており、視認性とデザイン性を兼ね備えている。

ところで、タイメックスにまつわる興味深いエピソードがある。
アメリカ大統領は、タイメックスの腕時計を装着して公式行事や演説に臨むことがある。それは、タイメックスがアメリカ唯一の時計ブランドであることに由来する。国家元首として、自国製品を身に着けることで愛国心をアピールすると同時に、庶民性を演出しているのである。確かに、ロレックスではその効果は得られまい。
なお、大統領が着用しているモデルは、スポーツタイプのデジタルウォッチ「アイアンマン」である。
現在、オバマ大統領が愛用していたことで話題になったのが、シークレットサービス隊員向けに限定販売されたクロノグラフ腕時計「JORG GRAY JG6500」である。このモデルは中国製だ。
自らの警護を担うシークレットサービス隊員からプレゼントされたこの時計に、オバマ大統領は大いに感激したという。
日本国内でも同モデルの購入は可能だが、当然ながらシークレットサービスの公式マークは入っておらず、一般向け仕様となっている。ネットショップなどで流通しているが、ムーブメントは日本製であるにもかかわらず、マニュファクチャリングは中国で行われているため、割高感は否めない。
それにしても、中国製の腕時計を大統領が着用するというのは、支持率への影響を考えると微妙なところだろう。とはいえ、政権末期だったこともあり、もはや細かいことは気にしなかったのかもしれない。
ダイソーの100円時計

ある時、100円ショップのダイソーに行って腕時計コーナーに目をやると、シンプルな腕時計が並んでいた。
筆者が購入したダイソーの100円(105円)のこのモデルは「ブループラネット」。
果たしてこの腕時計は日常生活でちゃんと使えるか検証。
実装されている機能は時間と日付の表示のみで、曜日とクロノグラフ(計測)機能は無し。また、バックライトもないので夜間は実質的に外部の明かりがないと確認不可。
また通常、液晶表示される数値は時間と分だけで秒数はサイドボタンを押して表示させなければならないので、見たい時にひと手間かかる。日付もサイドボタンを押して表示させる。
そのためやはり、吊り売りのカシオの980円くらいのデジタルなどと比べても性能でかなり差がつく。液晶画面が寂しいのも安っぽく見えるが、価格差にして10倍なので仕方がないか。
装着感は悪くない
いたって普通のウレタンベルトだが、それは吊り売りの980円のカシオと変わらないように思える。耐久性は不明だが、2週間たっても千切れたり割れたりなどは全く無かった。
ただし、しなやかさに欠けると思う。非常に軽く、気にならないのは良い。
防水性能は皆無
最も注意が必要で、最大の致命的な部分は「非防水」であることだ。大きくパッケージに「非防水」と明記されている。日常生活防水すら無いので使える場面は限られるだろう。
突然の雨で傘を忘れてオシャカになることも考えられる。手洗いすらも危ないと思っていい。手を洗うときに時計に水がかかって浸水する可能性もありえるだろう。 風呂、シャワー、雨なんてもってのほか。
水どころか朝起きて気がついたら液晶部分に鼻毛まで入っていた。 どうなっているんだ……。
電池の持ちについて
あくまでテスト用電池なのであるが2週間たっても液晶は薄くなることはないし普通に使えていた。
総評(追記あり)
このブループラネット、実に6か月着用したが電池は衰えることなく いまだにデジタル表示も薄くならずに時を刻み続けている。
防水ではないが安い、壊れない、電池は半年以上持つ。なかなか侮れない腕時計が実質100円で買えてしまう。
まあ、小学生の頃から100円のガチャガチャで、こんな程度のデジタル時計ってあったような気がするけどね(笑)
ともかくサバイバルゲームに使用してもいいかもしれない。
ただし、土はともかく水は一発でアウトなので、使い捨てと割り切るなら100円のブループラネットも買いだろう。
カシオの腕時計はSEIKOの腕時計と共に僕が一番信頼している腕時計です。壊れないし安い。
さて、カシオと言えばGショック。またハズシ系のもう一派としてカシオの安いデジタルウオッチが流行っている。

Gショックよりかなり価格帯が低く、ホームセンターにブリスターパッケージに入れられて「吊るし」で売られているいわゆるあの安い「Gショック風のデジタル腕時計」である。
安価なデジタル時計と侮るなかれ。たとえば「プレアコンパス」というモデルは、イスラム圏向けに設計された特殊な時計である。この時計は、礼拝の時刻とメッカの方角を表示する機能を持つ。プレイヤー、すなわち祈る者のために設計されたものだ。イスラム教徒は一日に五度祈る義務があるため、こうした機能は極めて実用的である。
[カシオ]casio 腕時計 スタンダードデジタルウォッチ W800H-1A 【並行輸入品】
B001AWZDA4 | Casio(カシオimport)
さらに価格帯が上がるが、かつてオセロの松嶋サンが着用していたことで爆発的に知名度を得た「データバンク」というシリーズも存在する。携帯電話でメモやアドレス管理が容易な現代において、あえて無駄に多機能な腕時計を使うことが「バカっぽい」として、20代の若い男女にヒットした。
[カシオ]CASIO 腕時計 スタンダード A158WA-1JF メンズ
B003OIB8Q0 | CASIO(カシオ)
これらのモデルは、決して過剰な装飾を施さない。必要な機能だけを、必要なだけ持つ。
そして、その機能はただの飾りではなく、本当に「使える」。
これらはいずれもカシオの正規品である。ただし、Gショックほどの耐久性は期待できない。レトロなデザインとチープな質感(実際に価格も安い)が、メンズ誌などで「ハズシ系アイテム」として取り上げられ、静かなブームを呼び起こした。
その流れもあって、逆輸入モデルが日本市場に流入し、ネット通販を通じて手に入りやすくなった。Gショック以前のカシオは、こうしたユニークなデジタルウォッチを数多くリリースしていた。しかし、Gショックの世界的ヒットにより、国内向けの個性的なデジタル路線は縮小されたようだ。
このブームは、単なるビンテージスタイルというよりも、「あえてつける」ことで個性を演出するムーブメントと言えるだろう。
カシオのデジタル時計は、映画にもたびたび登場している。
1983年公開の映画『ブルーサンダー』では、主人公の警察ヘリコプターパイロット、ロイ・シャイダーがチープなカシオのストップウォッチ機能を使って、モータープール内で車両スラロームのタイムを計測する遊びをしている。この遊びは「精神の安定」を図るためのもの、という設定だ。特徴的なのは、ストップウォッチの放射状表示。未来感溢れる演出となっている。
また、映画『エネミー・オブ・アメリカ』でもカシオのデジタルウォッチが登場する。主人公ウィル・スミスは当初オメガの腕時計を着用しているが、物語の展開によりカシオのデジタル時計へと切り替えることになる。
安いデジタル時計でハズシをやる!まとめ
安価なデジタル時計は、単なる時刻表示の道具ではない。使用する者の立場や状況に応じて、象徴的な意味を持つ。
たとえば、軍や警察、特殊部隊などの現場では、高価な機械式時計よりも、軽量かつ頑丈、しかも多少破損しても惜しくないカシオのデジタルウォッチが好まれることがある。機能性と合理性を最優先する世界では、ブランドや価格は二の次となる。
また、ストリートシーンにおいても、カシオのデジタルは独自の立ち位置を築いた。過剰なラグジュアリー志向に対するカウンターとして、あるいは「わかる奴にはわかる」アイコンとして選ばれるケースも多い。チープな価格設定は、むしろ選択の自由を広げた。傷がついても気にせず、気軽に日常へ溶け込ませることができるからだ。
かつてカシオのデジタル時計は、子供向け、あるいはスポーツ用というイメージが強かった。しかし、時代が進むにつれ、それは「都市生活者のツール」として新たな価値を持ち始めたのだ。
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