これまでSUREFIRE G2Xの特徴や仕様について解説してきたが、
今回は、近年日本国内で発生した凄惨な事件を受け、
公共交通機関であるJRがどのような対策を講じたのか、
そしてその非常用緊急用品として
SUREFIRE G2X with MaxVision(G2X-MV)
が正式採用された経緯について考察する。
Contents
G2Xについて
前回の記事では、G2X各モデルの特徴について詳しく解説している。
詳細を知りたい場合は、そちらを先に参照されたい。
日本の公共交通機関で採用されたG2X-MV
最近になり、G2Xシリーズに「マックスビジョン」を搭載した新モデル、G2X-MVが登場した。
このG2X-MVは、これまでのG2X Tactical、Pro、LEの3モデルと比較して約50%ほど高価であり、出力も800ルーメンと非常に高い。
シリーズ内に含めるかどうかは迷うところであるが、名称上は「G2Xシリーズ」の上位機種という位置づけとなっている。
G2X-MVの用途と特徴
外観上の特徴としては、従来のG2Xシリーズに比べリフレクターが小型化されている。
このG2X-MVは単なる照明用ライトではなく、より明確に「護身用」「抑制」を目的としたモデルである。
通常のG2Xシリーズはスポット光(点で照らす)が特徴的であったが、G2X-MVはその光をより太く拡げ、面で制圧できる仕様となっている。
たとえば、暴漢が複数存在する場面でも、乗務員や警備員が素人であっても比較的容易に暴漢の視界を奪い、行動を抑止できるわけだ。
この有効性が認められた結果、2018年にJR東日本は乗務員用の護身具として正式にG2X-MVを採用するに至った。
2018年、東海道新幹線「のぞみ」車内の事件とその影響
2018年6月、東海道新幹線「のぞみ」の車内で、ナタを持った暴漢が乗客を襲う事件が発生した。
女性客を助けようとした男性が命を落とすという、非常に痛ましい事件であった。
この事件を契機として、新幹線という密室空間における防犯対策、手荷物検査、乗務員の防犯用品の配備などが本格的に議論されることとなった。
JR東日本の対応

画像の出典元 JR東日本プレスリリース http://www.jreast.co.jp/press/2018/20180903.pdf
事件発生から数か月後の2018年9月、JR東日本は新たな護身具の配備を発表した。
警戒杖、防護盾、催涙スプレーなどが正式に導入され、その中にG2X-MVも含まれていた。
参考:JR東日本プレスリリース http://www.jreast.co.jp/press/2018/20180903.pdf
G2X-MVの課題と代替案
G2X-MVの仕様は、
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1回押すと15ルーメンのLOWモード
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2回押すと800ルーメンのHIGHモード
という調光パターンとなっている。
これはG2X Proと同じ仕様であり、実戦向きかと言われるとやや微妙な面もある。
そのため、最初の1押しで即座に800ルーメンが発光する、よりコンバット向けのモデルを求めるのであれば、G2Z-MVのほうが、「防犯・護身用具」として適していると言える。