「ダッシュ四駆郎」の原作者、故・徳田ザウルス先生に想いを馳せて

「ダッシュ四駆郎」の原作者、故・徳田ザウルス先生に想いを馳せて (初稿 2006年3月24日 金曜日 00:11:35)

“ミニ四駆漫画”と聞いて、何を思い出すか。筆者より若い世代であれば94年の「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」が妥当な答えかもしれない。しかし筆者の世代ではそう、87年の「ダッシュ!四駆郎」──それが我々の“ミニ四駆漫画”原体験である。

80年代後半から90年代にかけて、小学生男子の精神を占拠していた雑誌、月刊コロコロコミック。その誌面で圧倒的な熱量を誇っていたのが、徳田ザウルス先生によるこの作品だった。

『ダッシュ!四駆郎』──『コロコロコミック』誌上で連載された、ミニ四駆という文化の立役者とも言える作品だ。

2006年3月23日、徳田ザウルス先生は急性心不全で他界。享年49。過剰なエネルギーは、皮肉にも早すぎる終幕を招いたのかもしれない。熱く突っ走りすぎたのだろうか。

「ミニ四駆はおもちゃじゃない!」という四駆郎の決め台詞。あれに心を動かされた少年は数知れず。600円の小さなマシンに、少年たちは夢と情熱と小遣いのすべてを注ぎ込んだ。

ピンバイスで穴を開け、メッシュを張り、スポンジタイヤにローラー。誰もが自分の“最強マシン”を作っていた時代だった。工具の使い方を覚えたのは、学校の技術の授業ではなく四駆郎のおかげだった。

徳田氏の描く世界は、異様に熱かった。炎のように。いや、異常なまでに熱かった。冬でも燃え上がるような情熱がそこにはあった。筆者にとって、昭和末期の冬は白ではなく赤のイメージである。闘志の赤、情熱の赤、ミニ四駆を走らせる手のひらの汗ばむ熱だ。今の時代はどうか。夏でも冬でも妙に肌寒い、ウスラ寒い空気が支配している。

「子ども向け」のはずのミニ四駆漫画が、大人になってからも思い出される。なぜなら、あれは単なる趣味でもブームでもなく、ひとつの文化であり、時代の象徴だったからだ。徳田ザウルス氏は、その文化の旗を誰よりも高く掲げた人物である。

今、彼がこの世からいなくなって、世の中はますます寒くなる一方だろう。いや、すでに寒い時代に、あの熱量の喪失が拍車をかけている。

ありがとう、徳田ザウルスさん。筆者にとって、あなたが描いた熱は単なる漫画の中の出来事ではなく、確かに存在した幸福な子供時代そのものだった。

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現代の「萌え」とかいうなんだかちょっとわからない時代ではなく、骨の通ったあの熱い時代に、貴方のマンガを読めたことを誇りに思います。 ポケモン、デュエルなんちゃら、ムシキングで今はあのころよりもっとコロコロはすごいんだろうなとも思います。

私が子供のころも今の子供たちと同じように毎月、あの分厚いコロコロを楽しみにしていました。 あの少年ジャンプの2倍の厚みが、子供にとって1ヶ月分の情報だったんです。でも自分にはぜんぜん足りてませんでしたけど。

それから小学館の学習誌でもそうですが、本の間に毎月、 付録がぎっしり詰まっててそれを輪ゴムで押さえてあるのが 子供にはとても豪華に見えてそれもまた嬉しかったものでした。

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筆者は「ガンダム」にまったく興味が湧かなかった。ゆえに『コミックボンボン』はほとんど購入した記憶がない。正確には、2回ほど買ったことがある。ちょうど『OH!MYコンブ』が連載されていた頃である。麦茶とサイダーを2:1で割って「リトルビールのでっきあがりでぃ~」などと、いかにも子供騙しなレシピを披露していたが、正直、悪ノリが過ぎるというのが当時の率直な感想だった。

筆者は“リトルグルメ”より“リトルコップ”だった。

おもちゃ屋で友人たちとミニ四駆を入れるケースを買い、自転車にくくりつけて帰宅。そして皆で一斉に走らせていた日々の記憶は、今でも鮮やかだ。プラスチックの塊に過ぎない小さなマシンに、子供たちは友情と競争心と創意工夫とを詰め込んでいた。あの頃、誰もが自分のことを小さなエンジニアだと思っていた。

時代は流れ、筆者も小学校を卒業。制服姿で『コロコロ』を買うのはさすがに気恥ずかしくなった。そうしてフェードアウトした数年後、テレビでは『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』が始まり、いわゆる「第二次ミニ四駆ブーム」が到来する。だが、あれは何かが違った。

『レッツ&ゴー』は「キャラクターのためのミニ四駆マンガ」だった。対して『四駆郎』は、「ミニ四駆のためのマンガ」である。主役は常にマシンであり、キャラクターはそれを語らせる存在。そこには玩具を本気で愛する真剣さがあった。

ちなみに『四駆郎』もアニメ化されているが、正直、原作の熱量には遠く及ばなかった。
先日、久々に『コロコロコミック』の公式サイトをのぞいてみた。中央にドラえもんとドラゴンマークを配した、あの表紙レイアウトは今も健在だった。変わらないものがあるという事実は、妙に心をなごませる。

驚いたのは、あの『スーパーマリオくん』の沢田ユキオがまだ現役であることだ。芸能人やスポーツ選手をギャグに仕立てるスタイルも健在で、今はボブ・サップあたりがネタにされているらしい。

筆者にとって、徳田ザウルス先生の熱量に胸を焦がし、玉井たけし先生のギャグに笑い転げ、方倉陽二先生の『のんきくん』にほっと癒される──そんな日々は心の満ちた幸福な子供時代そのものである。マンガばかり読んで、よく遊び、勉強などほとんどしなかったが、いま振り返ってもまったく後悔はない。母親からは夏休みの連絡帳に「学習帳は真っ白ですが顔は日焼けで真っ黒です」などと皮肉を書かれたものだが、それもまた良い思い出だ。

あの『コロコロ』の80年代黄金時代を彩った漫画家たちは、今や鬼籍に入った方々も多い。
1996年には藤子・F・不二雄先生。1997年には方倉陽二先生。そして2004年、「ゾンべえ」で爆笑させた玉井たけし先生も逝った。2012年には『サイキッド謎丸』の河合一慶先生も。

今なおアグレッシブに活動しているのは、小林よしのり先生くらいか。だがその筆は、いつしか妙な方向へと舵を切ってしまった。のむらしんぼ先生は、『つるピカハゲ丸』で大当たりを出したが、その後は見事に凋落し、今では“びんぼっちゃま”さながらに落ちぶれた日々を自虐ネタにしている。しかしそれが逆にウケて、本の売上は好調、借金完済も視野に入る勢いらしいのだから、人生はわからない。

一方、おちよしひこ先生は成人向けと兼業。Moo.念平先生は、農協の関連団体の冊子に名を連ねているという。「キンタマン」の立石佳太先生は引退?

時代は変わった。しかし、あの頃の“赤い熱”は、今も胸の奥に確かに残っている。コロコロ黄金時代は、単なる子供の娯楽ではなかった。それは“文化”だったのである。

「再起動するプラスチックの夢」──ミニ四駆、大人の手のひらに帰還

2007年。かつて少年たちの午後を支配した小さな四輪駆動車が、再びパッケージの中から姿を現した。タミヤによる復刻版の登場である。筆者も例に漏れずその波に乗り、大人になって、久々の組み立てに手を伸ばした。かつて夢中でシャーシを組み込んだあの手は、今やクルマのハンドルを操るには適していても、“ミニ四駆作り”にはやや不器用になっていた。

小学生時代、ワイルドミニ四駆、レーサーミニ四駆、コミカルミニ四駆──三種の神器のようにあったあの頃の記憶は、プラスチックとモーターの音と共に脳裏によみがえる。中学に上がると同時に登場した「ミニF」も少しだけ触れたが、既に周囲は「卒業」ムード。進研ゼミと部活という予定調和に取り込まれ、筆者も例外ではなく、ミニ四駆は引き出しの奥へと退場を余儀なくされた。あ、進研ゼミはやりませんでした。

それにしても、大人になってようやく気づいた。ミニ四駆とは子供の手でこそ組み立てが最適化されるように設計されていることに。これほどまでに細かい作業だったのか。大人の手ではパーツが小さすぎるのだ。かつて(大人の)ミニ4ファイターが軽々と車体を組み上げていたことに、いまさらながら驚嘆する。

最も記憶に残るのは、コースではなく路上での戦いだ。空き缶を標的に、数十メートル先から走らせたミニ四駆を命中させる「カンカンシューティング」──精密さと偶然が絡み合う、奇妙にスリリングな遊び。コースを持っているのは限られた家庭の特権。お金持ちの友人宅で繰り広げられたあの光景は、今思えば資本主義と友情の交差点だった。

放課後の選択肢は限られていた。公園でマルイの1900円のエアガンを撃ち、ゲームボーイやファミコンでレベルを上げ、そして夜な夜なシャーシを削り、軽量化に命をかけた。目的はただ一つ。日曜、街の小さなおもちゃ屋が主催するレースで一秒でも速く走ること。

レジの奥にいたおじさんは一見、問答無用の番人だった。こちらがミニ四駆のギアやローラーを「これください」と差し出すと、無言で受け取り、無表情に会計を済ませる。しかし、心の奥には何か温かいものがあったと、今になってわかる。子供たちの静かな情熱を、あの人なりに見守っていたのかもしれない。

あれから幾年月。再び回り始めたモーターの音に、胸のどこかが静かに震える。ミニ四駆はただのプラスチックではない。それは、いつの時代も少年と大人のあいだに横たわる、小さな夢のかけらなのだ。

ホビー・エンターテイメント関連情報リンク集

ウェブコミック連載漫画大量! 楽しい漫画ホームページマンガ 「むさ星」
コロコロコミックに連載中のむさしのあつし氏の公式サイト。
http://www2.odn.ne.jp/musaboshi/
ウェブ作品の公開、イラストギャラリー、日記、ラジコンの話題。ボンバーマン世代じゃないけど好きな漫画家。

たなかてつおの航空漫画
http://www.flightinfo.jp/aero_comic_world/
「マンガ・パイロットになろう」や 「マンガ・ヘリコプターの操縦」で知られる漫画家の田仲哲雄氏のサイト。同氏もまた、ミニ四駆漫画を描いていた一人。

貴くんのミニ四駆情報館
http://www.geocities.jp/mini4_museum01/
なつかしい田宮模型のミニ四駆の詳細なデーターが豊富なサイトです。パーツや車種の画像、発売日の貴重な資料が圧巻!
子供のころ、手に入れたあの一台・・今はもう手放したあのミニ四駆たちにもう一度会いに行こう。

LUGNET
http://guide.lugnet.com/
過去現在まで発売されたレゴブロックのデータベースです。君があのころ遊んだレゴブロックはあるかな?
ちなみに私はこれを買ってもらいました。1985年。
http://guide.lugnet.com/set/6368

富士通の’80年代の8ビットPC、FM-7シリーズ総合サイト
http://www.retropc.net/fm-7/index.html
往年の古き良き時代のゲームが展示されています。

ノスタルジック・ハーモニー
http://www.ne.jp/asahi/nostalgic/harmony/
コロコロコミックのホビーとして、ミニ四駆と共に80年代から90年代を彩ったのがゾイド。なつかしい。残念ながら閉鎖してしまいました。