SUREFIRE 6Pは過去何度も製造中止になり、そのたびに品切れとなるが、米軍への納品分の余剰在庫が民間に流れることで販売が再開される。
2020年4月も再販されたが、2025年現在、生産はされておらず、中古品を購入するのみ。まだ入手していない人は早めに手に入れよう。


SUREFIREのP60規格の社外品カスタムパーツはとにかく種類が多い。
手軽かつ安価にアップグレード出来るのがうれしい。
なんといっても6Pに200ルーメン~1500ルーメンものハイパワーLEDバルブ・アッセンブリーを装填してやれば、飽きない限り、これから何十年も使用可能。
これこそが、SUREFIRE 6Pの特徴であるドロップインモジュールの持つ利便性。
P60規格のカスタムバルブを製造するメーカーには『ソーラーフォース』があるほか、日本のカスタム工房H2Tでも、6P/9Pに装填可能なドロップインLEDモジュール・雷光壱眼seriesを販売。
それら各社から出ているLEDバルブの中で、今人気なのがVeekiのT6 Single Mode 3.0-18V Drop-In- P60デザインというバルブ。
※2020年現在は取り扱いがないようだが、同じくP60ドロップインに対応したledバルブがいくつも販売されているので、こちらを代用するのも問題ないだろう。
実際に筆者が購入して試したところ、Veekiは安い割に高性能だった。
というわけで、今回Veekiのバルブで、SUREFIRE 6PのLED化に挑戦してみた。
SUREFIRE 6Pが傑作と呼ばれる理由を解説
Contents
Veeki T6 Single Mode LEDバルブの組み込み作業
Veeki T6 Single Mode LEDバルブには標準で大きなバネがついているが、バネをはずさないと装填できないので、まず最初にはずしてしまおう。

中央がVeeki製のT6 Single Mode 3.0-18V LEDバルブ。バネを外した状態。実際にはずしたバネは写真左。
手でバネをひねれば簡単に外せるが、基盤のフチのハンダづけが比較的甘いので、剥がさないように注意。価格を考えれば、作りの安っぽさは仕方がないが、お試しで使う分には充分だ。

リフレクター(反射鏡)の様子。右が純正P60バルブ。左がVeeki製のT6 Single Mode 3.0-18V LEDバルブ。Veekiはオレンジピール加工ではなくスムースな鏡面加工。では組み込もう。しっかし、この当時はキュキュットやジョイなど合成洗剤で食器を洗っていたから手荒れがひどくて恥ずかしい。重曹やセスキに変えてから全く荒れなくなった。やめたほうがいいですよ、合成洗剤。

バルブを入れ替えてやるだけの簡単作業。

SUREFIREのドロップインモジュールは、単なるアップグレードパーツではない。光学機器における“信仰”そのものである。リチウム電池の発する力を余すことなく集光し、漆黒の中に確信の一線を走らせる。その一瞬が、持ち主にとっての儀式。
6Pのヘッドをチューブに取り付ける瞬間、あの独特の「ッツィーン!」という音が鳴る。金属同士が高精度に噛み合う際に発する、澄んだ残響音。これは単なる音ではない。航空機用アルミという素材の純度、そして機械加工の精度を証明する“サウンドロゴ”である。
この「音」に惹かれる感覚は、銃器ファンにとっては極めて馴染み深い。たとえば、園田健一の漫画『ガンスミスキャッツ』においても、まさにその描写が存在する。主人公の女賞金稼ぎ「ラリー・ビンセント」は、Cz75の加工精度を友人の刑事に示すため、分解したスライドとフレームを軽くぶつける。そのとき「ッチーン!」と澄んだ音が鳴り響く。まるでワイングラスを鳴らしたかのような金属音。これを聞いた刑事が「なんじゃこるえええ!!」と驚く。この反応こそが、彼女の愛銃がただの道具ではなく、工芸品に近い存在であることを雄弁に物語るッチーン!うろ覚えだがな。似たようなものだと思う。
道具は、信頼に足るかどうかで価値が決まる。そして信頼とは、往々にして“音”で示される。ネジの締まり、トリガーの切れ、ボルトのスライド、そしてこの、ライトの装着音。SUREFIREがガジェットではなく“信念”として語られる所以が、そこにある。
が……。

組みあがった状態。ヘッドとチューブの間に1ミリほどの隙間ができた。社外品のバルブを組み込むと良く起きうる。
しかし、ヴィーキのバルブにはスペーサーなどという気の利いたものは付属していない。
アメリカ人ならこんな点は気にも留めないのだろうが、筆者はどうしても気にしてしまう。ただ、防水性については元々、ヘッドの内側にオーリングが仕込まれているので、特に問題はないだろう。

そしてSF-123Aを2本使用しての照射パターンテスト。
見てのとおり、中心光は強烈で真っ白。周辺光も意外に明るい。ロマンとの引き換えに球切れの無い安心感と電池の持ちを手に入れた。
SUREFIRE 純正電池『SF-123A』とは?
SUREFIRE 6P LED化に用いられる代表的なドロップインモジュール
現在、SUREFIRE 6PのLED化に使用されるドロップインモジュールには、以下のような代表的な製品が存在する。
メーカー・ブランド名 | 製品特徴 |
---|---|
Surefire純正 P60Lモジュール | 純正品で信頼性が高い。明るさはやや控えめだが、耐久性重視。 |
Malkoff Devices モジュール | 高品質な米国製。高出力かつ耐久性に優れるが、やや高価。 |
Solarforce ドロップインモジュール | 比較的安価で選択肢が豊富。光量重視からランタイム重視までバリエーションあり。 |
KDLITKERやその他中華ブランド | 非常に安価で手に入るが、個体差や耐久性に注意が必要。品質はまちまち。 |
これらのモジュールは、いずれも基本的に「ドロップイン」(そのまま交換可能)設計であり、特別な加工を必要としない。
ただし、モジュールのサイズや設計によっては多少のフィッティング調整(先述のようにスプリングを外すなど)が必要となる場合もある。
SUREFIRE 6PをLED化することによるメリット・デメリット
【メリット】
-
長寿命化
LEDはキセノンバルブに比べて寿命が圧倒的に長く、数万時間単位で使用できる。 -
消費電力の低減
LEDはエネルギー効率が高く、同じ電池でより長い時間使用できる。ランタイムが向上する。 -
発熱の低減
キセノンバルブに比べて発熱量が少ないため、連続使用に強い。 -
光量と配光の改善
現代のLEDモジュールは、キセノンバルブよりもはるかに高い光量を実現可能。配光も均一で暗いスポットが出にくい。
【デメリット】
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社外モジュールとの相性問題
本体設計との微妙なズレにより、フィッティングが完全でないことがあり得る。防水性能に注意が必要となる。 -
保証対象外になる
先述の通り、社外パーツ使用によりSUREFIRE社の生涯保証対象外となるため、注意が必要。
SUREFIRE 6PのLED化で電池はどのぐらい持つか
キセノンからLED化で電池はどのぐらい持つか、テスト。
電池は東芝のCR123Aを装填し、1日平均1分ほど(必要もないのに)使った。
50日目くらいでかなり暗くなり、電圧が下がってきたのか、プッシュスイッチを押し込む指の力が弱いと、付き方が蛍光灯の付き始めのように点灯が不安定に。
ただ、テールキャップをひねって点灯させた場合は問題なかった。
55日目からスマートフォンのLEDライトより、やや明るい光度になっていた。ということはおそらく200ルーメンくらいにまで落ちたのだろうか。
後に購入したG2X LEの15ルーメンと比べると大して変わらなかったのでおそらくその程度だと思う。まったくいい加減な目である。
しかし、65日を過ぎてもまだ点灯する。
夏になり、山と海に行く機会が増えるので、さすがにそろそろ万が一のため、電池交換したいと思うが、まだまだいけそう。
当然ながら充電池ではないわけで、この60日間、電池を出し入れして充電器にセットして充電するあの面倒くさいわずらわしさから完全に解放されている。
東芝のCR123Aは2本セットで楽天市場で約650円で購入したので、充電のわずらわしさからの開放代として月額325円払ったことになるが、妥当な金額だと思う。
CR123Aは、ひょっとすると筆者の運用スタイルに合っているかもしれない。正直、ここまで電池が持ってくれるとは思わなかった。いや、ヴィーキのLEDバルブの優秀さ、そちらを称えるべきか。
なお、筆者は現在KEEPPOWER 16650 / 2500mAh充電池を基本使用。
わずかな初期投資で年間8000円ほどの電池代が浮く圧倒的なコストパフォーマンス。ますます日常生活からシュアファイヤが手放せない。
SUREFIREの純正SF電池をKEEPPOWER 16650 / 2500mAh充電池代用で電池代がタダ当然に!
SUREFIRE 6PのLED化まとめ
旧型6Pも現行型6Pオリジナルも、キセノンバルブとリフレクターが一体化されたアッセンブリー構造を採用している。このため、純正品のバルブ交換は非常に高価であるという難点を抱えている。
しかし、純正キセノンバルブから安価な社外品バルブに交換することで、誰でも手軽にカスタムできるのが、6Pオリジナルに代表される『ドロップ・イン・モジュール・システム』の強みである。
興味があれば、「SUREFIRE 6P LED化」などのキーワードで検索してみると、多くのカスタマイズ事例が見つかるはずだ。
ただし、SUREFIRE社自身は、あくまで自社製品同士の互換性のみを保証しており、社外品パーツとの互換性を謳ったり推奨することは決してない。社外品を使用した場合、生涯保証の対象外となることに十分留意する必要がある。あくまで自己責任のもとで行うべきである。
なお、SUREFIREの生涯保証の概要については、別途詳しく説明を行った。
SUREFIREの生涯保証と保証書について。SUREFIREはどこのショップで買えば安心か?